タカネコウボウ Anthoxanthum horsfieldii var. japonicum

被子植物 イネ科
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種の特性と生息状況
本州、四国、九州の亜高山帯~山地帯上部に分布する日本固有の多年生草本。山頂付近や稜線上の風衝草原に生育する。茎は高さ20~60cmで、少数束生する。葉は扁平で上面に軟毛があり、長さ10~20cm。円錐花序は先が下垂してまばらに短い枝を分け、3小花からなる小穂をまばらに付ける。花期は6~7月。同属でユーラシア原産のハルガヤとは、花序の形態こそ異なるが、小穂の構造や乾くとクマリンの香りを放つなどの点で近似している。都内では、西多摩の高標高地に分布するが、近年は雲取山のシカ柵内で確認されているのみであり、その他の自生地においては現況調査を要する。
生存を脅かす要因
高標高地の防火帯草地における草刈りの停止や、シカの食害などが生存を脅かす主な要因であると考えられる。
特記事項
自生地の保全およびシカ柵の設置など、適切な管理を行うことが望ましい。本種の生育する草地は、他の多くの希少植物にとっても良好な環境が維持されていると考えられるため、計画的、総合的に保全管理を行うことが求められる。
執筆者
小林健人
長野県 1987年8月29日
関連文献
鈴木和雄(1984)奥多摩植物目録. 東京都高尾自然科学博物館研究報告, 12: 1-48.
鈴木和雄 編(1986)奥多摩の植物. 奥多摩植物研究会. 28pp.
東京都高尾自然科学博物館 編(1976)川苔山植物目録. 24pp.
東京都高尾自然科学博物館 編(1980)鷹巣山植物目録. 29pp.